2010/12/30

Best Albums 2010 / No. 20-6

昨日に続いて、今日は20番目から6番目まで。ひとことレヴューみたいなものも書いてみようと思う。あ、総論めいたことは全部出してから書くつもり。




20. Owen Pallett / Heartland

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音楽とは空間芸術であるということを、ポップ・ミュージックにおいて改めて証明してみせた稀有な才能。クラシカルな文法と饒舌な語り口、そして際限のない想像力。この作品をを聴いている時間は夢のように過ぎる。






19. The Walkmen / Lisbon
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かぎりなく男臭く、同時にある意味で快活で健全なメランコリアを感じさせるロック・アルバム。常にアウトサイダーであり続けてきたThe Walkmenが、まさにアウトサイダーだからこそ辿りつけたポジティヴィティに魅了される。





18. Factory Floor / Untitled EP
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EPではあるけれど、アルバムに匹敵するスケールの広がりを感じさせる傑作なのでエントリー。ちまちましたムーヴメントやコミュニティを蹴散らすテンションと世界観をもち、なおかつより開けた音へとリーチした転機作だと思う。






17. Wild Nothing / Gemini
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いわゆるC86リヴァイヴァルというのは要するにピュアなポップネスへの揺り戻しで、それだったらとことん夢を見せてほしいと思う。そういう意味でこのWild Nothingの嘘みたいな(実際嘘なんだけど)まばゆさは出色。







16. Skream / Outside The Box
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たとえばMagnetic ManがDubstepが音楽業界に叩きつけたひとつの解答だとしたら、このSkreamのセカンドは早くも「その先」を見据えた作品。DubstepがDubstepとしてどこまで文学性を持ち得るのかという可能性はここにある。






15. Flying Lotus / Cosmogramma
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孤高の才能が、その孤高さを爆発させた驚異作。どのシーンに当てはめることも不可能であり、今年のエレクトロニック・ミュージックにおいてもっとも異端で、もっともパンクで、もっともエモーショナルなもの。







14. Violens / Amoral
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死ぬほど聴いた。ポップ・ミュージックがポップであることの「嘘」を暴き、そこに潜む絶望と暗さを描きながら、なおポップ・ミュージックとして輝くことを目指す、極北のギター・ポップ。ひねくれているけれど、だからこそ心を掴まれる。






13. Sleigh Bells / Treats
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馬鹿馬鹿しいほどに新鮮な「発明」。たぶんこれを作ったときの彼らはヤケクソだったのだと思うのだが、これほど浮きまくっていながらイライラしないのは、そこにちゃんとエモーションが介在していたからだろう。M.I.A.となんかやらなきゃよかったのに。






12. Everything Everything / Man Alive
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今年のUKでは数少ない、未来を鳴らしてくれた作品。同郷のDelphicに較べても音楽性の幅とソングライティングの味において彼らのほうがパワフルだった……というか、ちゃんとコンテクストを踏まえた上で音を鳴らす知性が、彼らにはある。






11. Demontre / Masculin / Feminin
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どうしたって好きな音なのだが、地を這うようなベースに対して妙な明るさを感じさせるギターがツボ。"Lorenheim"の気だるい空気感には完全にやられた。意外性はないけれど、絵としての完成度がすばらしい。







10. MGMT / Congratulations
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いろいろなところから今さら辛い評価が聞こえてくるけれど、改めて聴いてもいまMGMTがこの音を鳴らす必然はあった。ロックとしてまっとうに生きることから逃げているバンドが多すぎるなかで、これを作り上げた覚悟を買う。曲も粒ぞろいだと思うのだが。






9. Salem / King Night
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ヒップホップとドリーム・ポップが出会った先で鳴るダークなファンタジー・ミュージック。むやみな暗さがかえって心地良くなってくる。見える景色を一変させる強烈なイメージ、ケミカルでデジタルな質感が、混沌と覚醒のはざまで行ったり来たりする。






8. Liars / Sisterworld
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ここではないどこかを目指して旅立ち、最終的に着地した場所は360度絶望に取り囲まれた土地だった……というような、出口のない、しかし浮き足立ったダークネスを提示する、リアルなアート・ロック。音楽的にはどこまでも豊饒で、でもムードは一貫している。






7. These New Puritans / Hidden
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ビートとリズムの遊戯という、ヒップホップの本質(だけ)をかすめ取り、自分たちのヴィジョンと完全に同化させてしまった、世界で彼らだけにしかできないロックを完遂した1枚。これが画期的な発明であることは、いつになったら理解されるのだろう。






6. The Drums / S.T.
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暴力的なまでに軽快で、過剰なまでにソフトフォーカスな夢見のギター・ポップ。そうでもしなければ生き抜けないこの時代を、The Drums以上に音に写しとってみせたバンドはいない。永遠と刹那がじつは表裏一体であるということが、切迫した真実として襲いかかってくる。




というわけでベスト5に続く。

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